事業用の賃貸物件を検討している方のなかには、造作買取請求権について知りたい方も多いでしょう。
とくに、賃貸物件を事業用として初めて借りるケースでは、聞き馴染みのない言葉であるため、事前に意味や内容を理解しておくことが大切です。
そこで今回は、造作買取請求権とは何か、行使できないケースや主な特約をご紹介します。
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事業用として賃貸物件を契約するときの造作買取請求権とは
賃貸借契約の終了後に借主が建物に付加した造作を貸主に時価で買い取ってもらえる権利が「造作買取請求権」です。
借地借家法第33条によると、貸主の同意を得れば、賃貸借契約の終了時に一定の要件を満たした造作の買取請求ができます。
買取請求ができる要件には以下の3つがあるので、契約前に確認しておきましょう。
●対象が造作である
●貸主の同意を得て付加した
●賃貸借契約が終了する
この要件を満たせば、造作の買取請求が可能となっていますが、そもそも「造作」には3つの意味があります。
以下で「造作」とは何か、主な意味合いをチェックしておきましょう。
造作の意味①建物に付加されたもの
造作(ぞうさく)とは、建物に付加された設備や構造物を指します。
具体的には、建物に取り付けられ、その機能を発揮するものであり、取り外すとその価値が減少するものです。
そのため、飲食店内に設置されたテーブルや椅子、什器類などは、造作とはみなされません。
造作の意味②借主が所有しているもの
借主が所有していることは、買取請求の要件の一つです。
建物に付加されたものであっても、建物と一体化したものは、所有者のものとなります。
事業用の賃貸物件を契約する際には、退去時に買取請求ができるかどうかをあらかじめ確認しておくことが重要です。
造作の意味③建物の使用に便益を与えるもの
借主がその建物を特殊な目的で使用するために付加した設備は、造作に含まれません。
特定の事業にしか利用できない設備については、買取請求ができないため、注意が必要です。
事業用の賃貸物件を契約する際には、どこまでが造作に該当するのかを入居前に確認しておくことが重要です。
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事業用の賃貸物件で造作買取請求権を行使できないケースとは
賃貸物件を事業用として借りるときは、退去時に買取請求できるかチェックしておきましょう。
確認しないまま契約をしてしまうと、事業用の賃貸物件を借りた後にトラブルが起きてしまう可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、どのようなケースで造作買取請求権を行使できないのか知っておくことが大切です。
権利を行使できないケース①価値が減少しない
事業用の建物から取り外しても価値が減少しない造作については、契約終了時に買取請求ができないため、注意が必要です。
たとえば、移動先でも活用できる家具やキャビネットは、建物の価値に影響しないため、造作買取請求権を行使できません。
また、借主が所有しているとはいえない造作についても、買取請求はできないことに留意しましょう。
買取請求が可能かどうかをきちんと確認したうえで、事業用の賃貸物件を契約することをおすすめします。
権利を行使できないケース②放棄特約を設けている
事業用の賃貸借契約では、造作買取請求権を放棄する特約を設けている場合もあります。
以前は、造作買取請求権が強行規定とされ、要件を満たす場合には貸主に買い取り義務が課されていましたが、平成4年8月1日施行の借地借家法により、造作買取請求権は任意規定となりました。
そのため、放棄特約がある場合、借主は退去時に買取請求ができないのが原則です。
現在の賃貸借契約では、放棄特約を設けることが一般的となっているため、契約を結ぶ際には、買取請求ができるかどうかを確認しておくことが重要です。
権利を行使できないケース③建物の利便性を高めていない
事業用の賃貸契約において、取り外しても建物の価値や利便性を客観的に高めるとはいえない造作については、基本的に造作買取請求権を行使することができません。
たとえば、フロア固定タイプのカフェテーブルなどは、特定の用途にしか利用できないため、建物の価値には影響を与えません。
そのため、退去時に買取請求ができないことになります。
また、断熱材のように壁内に一体化してしまう造作も、建物の価値に直接影響しません。
そのため、請求対象には含まれません。
事業用の賃貸物件を借りる際には、どの造作物が買取請求の対象となるか、あらかじめ確認しておくことが重要です。
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事業用の賃貸物件で知っておきたい造作買取請求権の特約
造作買取請求権の特約について理解を深めるには、借地借家法を知る必要があります。
造作買取請求権の規定には「旧借家法」と「借地借家法」があるので、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
旧借家法とはどのようなものか
旧借地法は、賃貸借契約に関する法律で、特に借地に関して定められていました。
この法律は平成4年に改正され、借地借家法が施行されることで廃止されました。
旧借地法に基づいて設定された借地権は「旧法借地権」と呼ばれ、改正後もその法的効果は引き続き適用されます。
旧借地法における特徴的な点のひとつは、造作買取請求権が強行規定であったことです。
これにより、当事者間で別の特約を設けた場合でも、それは無効とされました。
つまり、旧借地法の下で契約した場合、貸主が造作買取請求権の放棄を求める特約を設けたとしても、その特約は無効です。
造作の要件が満たされていれば、貸主は必ず買取請求に応じなければならなかったのです。
借地借家法とはどのようなものか
借地借家法は、平成4年8月1日に施行された新しい法律です。
この法律では、造作買取請求権が「任意規定」として定められています。
そのため、事業用賃貸借契約において権利を放棄する特約があれば、借主はその権利を行使できません。
借地借家法の定めと異なる内容の特約も有効となるため、契約時には十分な確認が必要です。
賃貸物件の契約終了後に造作物を買い取ってもらいたい場合は、造作買取請求権を行使できる物件を選ぶと、退去時の処分がスムーズに進むでしょう。
契約時に権利を確認しないと、退去直前に買取請求ができないという問題が発生する可能性があります。
貸主に買い取ってもらえない造作は、借主自身が処分しなければならず、余分な費用がかかることになります。
場合によっては、高額な原状回復費用を請求される恐れもあるため、契約前に造作買取請求権を行使できるか確認しておくことが重要です。
また、借主が債務不履行を理由に契約解除された場合、造作買取請求権は認められません。
権利を行使できる物件であっても、造作の買取請求には応じてもらえないため、契約違反を避けることが大切です。
賃貸借契約における債務不履行の例としては、家賃の未払いや無断での譲渡・転貸などがあります。
民法541条に基づき、相当期間を定めて債務の履行を催告したあと、履行がなされなかった場合に契約解除となるのが一般的です。
しかし、貸主との信頼関係にも影響するため、そのようなケースでは造作買取請求権を行使できない可能性が高まります。
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まとめ
造作買取請求権とは、事業用の賃貸借契約が終了したときに、借主が建物に付加した造作を貸主に時価で買い取ってもらえる権利です。
権利を行使するには一定の条件があり、建物の価値が減少しないケースや特約を設けているケースでは利用できません。
造作買取請求権の特約は平成4年8月1日に改正されており、現在の賃貸借契約では「任意規定」扱いとなります。
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株式会社たくみ スタッフブログ編集部
株式会社たくみは、出雲市で1976年に創業した不動産屋です。今やインターネットに賃貸・不動産情報は溢れております。あまたの物件からお客様にとって最適なものを探しだすことが弊社の使命です。ブログでは、物件探しのお役に立てる情報発信をします。