不動産を売却するとき、主な必要書類のひとつに固定資産評価証明書が挙げられます。
固定資産評価証明書は聞き慣れない名称であり、書類の概要や用途などを想像しにくいところではないでしょうか。
そこで今回は、不動産の固定資産評価証明書とは何かにくわえ、書類の用途と取得方法も解説します。
不動産の「固定資産評価証明書」とは
不動産の固定資産評価証明書について押さえたい基本は、以下のとおりです。
書類の概要
固定資産評価証明書とは、土地や建物に見込まれている、固定資産としての評価額が載っている書類です。
土地や建物に対する固定資産税は、固定資産としての評価額を課税の基準としている税金です。
そのため、固定資産評価証明書を見れば、固定資産税の税額の根拠が把握できます。
書類に載っている項目
書類に載っている項目は、まず所有者の氏名です。
また、対象の建物や土地の所在地をはじめ、不動産の客観的な情報がいくつか載っています。
建物で記載されるのは、家屋番号や建物番号・床面積・構造や規模・種類などです。
土地のほうでは、地積・地目・持分などが載っています。
以上にくわえ、課税の基準とされる固定資産税評価額や課税標準額が確認可能です。
数々の項目から、対象の建物や土地がどのような不動産なのかを把握できます。
類似書類との違い
固定資産評価証明書と似ている書類に、固定資産課税明細書や固定資産公課証明書が挙げられます。
固定資産課税明細書とは、固定資産に対する課税の内訳を納税者に通知する書類です。
課税に関する書類であるため、非課税の資産は記載されません。
また、発行を依頼しなくとも、納税者のもとに年に1回届くのが特徴です。
一方、固定資産公課証明書とは、建物や土地の評価額などにくわえ、課税額まで載っている書類です。
書類を見れば、課税の基準となった評価額と、実際に課税される額の両方を把握できます。
情報量が多くて便利ですが、取得したいときは、市区町村まで発行を依頼しなくてはなりません。
取得が検討される主なタイミングは、自宅に届いた固定資産課税明細書を紛失したり、同じ内容の証明書が複数必要になったりしたときなどです。
いずれも書類の名称は似ていますが、内容や特徴は異なるため注意が必要です。
不動産に関する固定資産評価証明書の用途
不動産に関する固定資産評価証明書の用途は、以下のとおりです。
用途①不動産の登記
譲渡(売却)や相続などで不動産の所有者が変わるときは、所有権移転登記や相続登記などで、新たな所有者の情報を登記しなくてはなりません。
この手続きのなかでは、登録免許税が課せられます。
登録免許税とは、登記にあわせて課せられる税金です。
税額は、登記する不動産の固定資産税評価額に規定の税率をかけて計算します。
税額に誤りがないかを判断するためには、課税対象額を正確に把握しなくてはなりません。
そこで、正確な固定資産税評価額が載っている資料として、固定資産評価証明書の提示を求められることがあります。
ただし、市区町村によっては、固定資産税評価額が電子形式で法務局に通知されているケースがあります。
このときは、資料がなくとも税額を正しく計算できるため、固定資産評価証明書は不要です。
用途②贈与税・相続税の確定申告
不動産の贈与や相続にともなう税金は、建物や土地の時価を基準に計算します。
しかし、不動産の時価は簡単に判断できるものではないため、国税庁が不動産の評価方法を定めています。
贈与や相続のあった不動産が建物だったとき、基準とされるのは固定資産税評価額です。
土地のほうでは、価値を計算するための単価として、国税庁が路線価を定めているケースがあります。
路線価がある地域では、路線価を使って税額を計算するため、固定資産税評価額は不要です。
しかし、路線価のない地域では、土地でも固定資産税評価額を使って税額を計算します。
固定資産税評価額を基準にしているときは、税額の正しさを判断するため、固定資産評価証明書の提出を求められます。
用途③不動産に関する訴訟
固定資産評価証明書の用途のひとつに、不動産に関する訴訟の資料があります。
不動産に関する訴訟にあたっては、対象の建物や土地の価値などを適宜明示しなくてはなりません。
そこで、資料のひとつとして、固定資産評価証明書を提出することがあります。
不動産に関する固定資産評価証明書の取得方法
不動産に関する固定資産評価証明書は、所有者のもとへ定期的に送られてくるものではありません。
自身で申請しないと手に入らないため、取得方法はよく確認しておく必要があります。
主な取得方法
固定資産評価証明書の主な取得方法には、窓口と郵送の2種類があります。
いずれの取得方法を選んでも、発行の依頼先は市区町村の役所です。
役所の窓口で発行を直接依頼するときは、担当課がどこなのかに注意しておきましょう。
郵送では、まず役所のホームページから申請書をダウンロードします。
次に、取得した申請書を印刷し、必要事項を記入します。
最後に、必要書類や返信用の封筒、手数料分の郵便定額小為替などとともに、役所の担当窓口宛に送れば完了です。
返信用の封筒には、切手の貼り付けが必要な点に注意しましょう。
それぞれの取得方法の違いには、手続きにかかる手間があります。
郵送を選べば、役所の窓口まで足を運ぶ必要はなくなります。
外出の手間を省きたかったり、役所が遠方にあったりするときは、郵送での発行を検討してみましょう。
ただし、郵送で発行を依頼すると、書類の取得までに1~2週間はかかるのが目安です。
取得を急いでいるときは、窓口で発行を直接依頼するほうが向いています。
コンビニエンスストアでの発行は可能なのか
自治体によっては、固定資産評価証明書をコンビニエンスストアで発行できることがあります。
コンビニエンスストアで発行を受けられると、役所まで足を運ぶ手間が省けて便利です。
ただし、対応状況は一概にいえないため、お住まいの自治体で個別に確認しましょう。
発行を依頼できる方
固定資産評価証明書の発行を依頼できるのは、基本的に所有者本人とその関係者のみです。
所有者本人の関係者とは、同居している家族を指します。
このほかの方で発行依頼が可能なのは、相続人や民事訴訟の申立人などです。
さらに、所有者本人から委任状を得ている方なら、発行を依頼できます。
発行にかかる手数料
固定資産評価証明書の発行にかかる手数料は自治体によるものの、1枚あたり約200~400円となるのが一般的です。
一度にまとめて申請しても、発行枚数が増えれば、手数料がかさんでしまいます。
手数料がいくらかかるかは、発行を依頼する枚数に応じて判断しましょう。
なお、固定資産評価証明書は、不動産1件ごとに取得するものです。
一戸建てでは、建物と土地のそれぞれで固定資産評価証明書が必要であり、計2枚の書類を取得する形となります。
一方、マンションの一室では、土地と家屋が一体だとみなされるため、申請する枚数は1部屋あたり1枚で十分です。
不動産の種類によって必要な枚数が異なり、手数料にも影響するため注意しましょう。
まとめ
固定資産評価証明書とは、土地や建物の評価額を示す書類であり、所有者の氏名や不動産の客観的なデータ、固定資産税の税額の根拠が確認できます。
書類の用途に関しては、登録免許税・贈与税・相続税の計算や不動産に関する訴訟などに用いられます。
取得方法は、主に窓口と郵送の2種類があり、自治体によってはコンビニエンスストアでの発行も可能です。
株式会社たくみ スタッフブログ編集部
株式会社たくみは、出雲市で1976年に創業した不動産屋です。今やインターネットに賃貸・不動産情報は溢れております。あまたの物件からお客様にとって最適なものを探しだすことが弊社の使命です。ブログでは、物件探しのお役に立てる情報発信をします。