不動産の売買契約では、想定外の事態に備えるために、特約を活用した解除条件の設定が重要です。
この特約には、さまざまな種類があり、それぞれに定められた条件や期限によって適用の可否が変わってきます。
この記事では、売買契約における主要な特約の内容や、解除時に発生する費用のポイントをわかりやすく解説します。
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ローン特約とは?
住宅ローンの審査結果は、買主の資金計画を左右する最重要事項であり、否認された場合の損失を未然に防ぐために活用されるのがローン特約です。
この特約を盛り込むことで、買主は自己資金を超える無理な借入を避けられ、売主も支払い不能による契約破綻というリスクを軽減できます。
さらに、契約段階で双方が合意内容を共有するため、後日の誤解や感情的対立を抑えられる点も見逃せません。
また、金融環境の急変や金利上昇など、外部要因による審査基準の厳格化にも柔軟に対応できるため、市場変動期には特に重宝されます。
くわえて、宅建業者が媒介契約書や重要事項説明書で詳細を説明することで、買主は制度の趣旨を理解しやすくなり、安心感が一段と高まります。
実務上は、売主側もローン特約の設定に同意することで販売スピードが上がるため、相手の資金状況を確実に把握したいときのツールとしても機能するでしょう。
たとえば、共働き世帯が片方の収入減で審査落ちした事例では、特約行使により手付金300万円をそっくり回収できた実績があります。
買主保護
ローン特約があれば、買主は審査否認時に、違約金や手付金の没収を受けることなく契約を白紙に戻せます。
また、経済的負担を心配せずに申し込み手続きを進められるため、意中の物件があっても安心して申し込みができるでしょう。
結果として、売主との交渉も円滑になり、購入希望者の離脱を防げるという副次的効果も期待できます。
条件
契約書には、申込先金融機関名、借入予定額、金利タイプ、返済年数などを一行で整理し、どの要素が否認理由になったか第三者が判断できるようにします。
とくに、虚偽の年収申告や過大な借入希望といった意図的な審査落ちは特約の保護対象外となるため、買主側の責任で正確な情報を提出することが重要です。
また、手付金を受け渡すタイミングや返還方法を明文化しておけば、解除時の手続きがより円滑になります。
期日
承認取得期日は、契約締結日から2週間から1か月に設定されるのが一般的で、その直後に解除期限が続きます。
買主は、期限までに金融機関名と否認理由を記した通知書を提出しなければ特約を行使できません。
なお、この締切を過ぎると契約は有効となり、解除による救済は受けられなくなるため、タスク管理を徹底してください。
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買い替え特約について
旧居の売却代金を前提に新居を購入する住み替えプランでは、予想より時間がかかる売却活動が資金計画を直撃します。
買い替え特約は、こうした不確定要素を抱える買主が旧居の売却に失敗した場合でも、違約金を負わずに新居契約を解除できるセーフティーネットです。
売主にとっても、解除条件と期限が明確になることで販売スケジュールを再設定しやすく、結果的に機会損失を縮小できます。
また、過去には郊外マンションが想定より700万円安でしか売れず、特約で新居契約を取り下げて損失を防いだケースも報告されています。
さらに、買い替え特約を導入している物件は、市場において買主の安心感を高めるため、購入申込み数が増える傾向にあるとも言われているでしょう。
特約条項を設定するときは、旧居と新居それぞれの取引担当者間で情報連携を図ることが望ましく、同じ不動産会社へ一括依頼すると書類作成もスムーズです。
買主
買主は買い手が見つからない、あるいは大幅な値引きでしか売却できない状況でも、買い替え特約を使えばダブルローンを負わずに済みます。
経済的損失の防止にくわえて、ローン審査に不利な二重債務を避けられるため、次の購入機会にも好影響を与えるでしょう。
また、売主側も早期に解除の可否が判明することで、広告戦略の修正や他の買主への再提案を迅速におこなえるメリットがあります。
期日
契約書には、旧居の売却期限と解除通知期限を明記し、新居引渡しから2〜3か月後を目安とするのが通例です。
この2つの日付を共有することで、買主は販売活動の目処を立てやすく、売主は代替プランを準備できるため、無用なストレスを軽減できます。
また、売却期限までの進捗報告を定期的におこなう旨を盛り込むと、相互の情報不足による不信感を防げます。
条件
「売却価格が○○万円以上で成立しなかった場合」や「一定期間内に売買契約が締結できなかった場合」のように数値基準を設定し、成立とみなすラインを客観化します。
抽象的な表現を排除しておけば、解除を申し出る際に当事者間で解釈が分かれるリスクを抑制できます。
さらに、旧居を仲介に出す不動産会社を指定しておくと、査定や広告方針を巡る齟齬を防ぎ、売却活動を円滑に進められるでしょう。
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特約による解除の場合の仲介手数料はどうなる?
特約によって売買契約が白紙解約となると、仲介手数料の帰属も「取引がなかった」と同じ扱いになるのが原則です。
仲介会社が契約成立時に先行着手する広告宣伝費や調査費がある場合でも、白紙解約が認められれば基本的には請求できません。
また、広告費15万円の返還を巡り、簡易裁判で和解した事例もあり、領収書の提示が決め手となりました。
さらに、インターネット広告やバーチャルツアー制作などの新しい販促手法が普及したことで、実費負担を巡る交渉は以前にも増して複雑化しています。
さらに、首都圏のように取引額が高額な地域では、仲介手数料も膨大になるため、返還ルールを巡る紛争が訴訟に発展する例も報告されています。
購入者と売主の双方が冷静に協議できるよう、エビデンスの共有は欠かせません。
仲介会社は、解約の時点で発生済みの経費を証憑とともに提示する義務があるため、領収書や広告掲載ログを保管しておくと冷静な協議が可能です。
白紙解約
住宅ローン特約を根拠に解除した場合、売買代金や手付金は全額返還され、登記費用など未発生のコストも不要となります。
宅地建物取引業法では、特約内容の説明義務のみを規定しており、解除そのものの可否は当事者の合意に委ねられる点が特徴です。
また、解除条項が文書で共有されていれば、後に「聞いていない」といった主張が起こりにくく、紛争の予防効果が高まります。
返還される
白紙解約時には、仲介会社に支払った手数料も全額返還されるのが一般的なルールですが、契約書で「返還しない」と定めていれば例外が認められます。
この条項は事業者ごとに差があるため、署名前に必ず確認してください。
さらに、返還を拒まれた場合でも、重要事項説明書に基づき宅建業法違反が疑われるケースでは、行政指導や裁判で解決を図る手段があります。
実務上の注意点
トラブル防止の第一歩は、契約書と重要事項説明書を精読し、手数料や実費の返還条件を条文で具体的に把握することにあります。
広告費や媒介報酬の発生タイミングを文書で区分しておけば、解除時に「どこまで返すか」を巡る紛争を避けられます。
また、買主の単純な心変わりによるキャンセルでは、返還義務が生じないケースも多いため、解除理由の整理が重要です。
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まとめ
不動産売買契約における特約は、万が一のトラブルを想定し、リスクを軽減するために欠かせない要素です。
ローン特約や買い替え特約は、買主の負担を軽くし、契約解除が可能な状況を事前に定めておく役割があります。
特約の内容によっては、仲介手数料の扱いが異なる場合もあるため、詳細を確認して慎重に判断しましょう。
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株式会社たくみ スタッフブログ編集部
株式会社たくみは、出雲市で1976年に創業した不動産屋です。今やインターネットに賃貸・不動産情報は溢れております。あまたの物件からお客様にとって最適なものを探しだすことが弊社の使命です。ブログでは、物件探しのお役に立てる情報発信をします。