土地を売るとき、タイミングをいつにするかで悩むところではないでしょうか。
売りどきに関係する基準を一度確認すると、良いタイミングを判断しやすくなります。
そこで今回は、時期と譲渡所得税のそれぞれから見て、土地を売るタイミングがどうなるかにくわえて、土地をそのまま所有したときにかかる維持費も解説します。
時期から見た土地を売るタイミング
土地を売るタイミングを考えるうえで、基準のひとつになるのが時期です。
時期を基準としたとき、土地を売るタイミングは以下のようになりますので、それぞれ確認していきましょう。
不動産の売買における繁忙期
不動産の売買において、繁忙期とされるのは春先の1~3月です。
春先には、就職・転職・進学などで多くの方がマイホームの購入や住み替えを検討します。
春先に新居を求めている方々のなかで比較的よく見られるのは、子どもの入園・入学を控えたファミリー層です。
家族でのびのびと暮らせるマイホームを建てようと、多くのファミリー層が土地を探すため、春先には需要が高まります。
また、繁忙期に土地を探しているのは、個人の買主だけとは限りません。
ファミリー層に向けた住宅を建てるため、ハウスメーカーが土地を探しているケースも見られます。
いずれにしても、多くの方が土地を探す春先は、売主に有利な時期です。
土地を売るにあたり、できるだけ良いタイミングを選びたいなら、売却の時期を春先に合わせたいところです。
秋口は繁忙期となるのか
人が動く時期といえば、春先だけでなく、人事異動がおこなわれる秋口も思い浮かぶところでしょう。
9~11月の秋口は、不動産が一般的に売れやすい時期のひとつに挙げられています。
ただし、過去のデータを見ると、かならずしも秋口に需要が高まっているとは言い切れません。
需要がそれほど高まらない理由には、人事異動の時期が会社や業種によって異なり、どこの会社でも秋口に転勤があるとは限らないことが挙げられます。
それでも、秋口に繁忙期のイメージが定着しているのは、人事異動にあわせて不動産を購入する一部の事例が関係していると見られます。
秋口に転勤が決まり、不動産を急いで探している買主は、いないわけではありませんが、春先ほど需要の伸びを期待できないので注意が必要です。
売主に有利なほかの時期
不動産売買の繁忙期以外で、売主に有利だといえる時期は、土地の周辺環境が良くなったときです。
付近に新しい施設ができたり、インフラが整備されたりと、土地の周辺環境が良くなったときは、以前より高値での売却が期待できます。
土地を売るうえで良いタイミングを考えるときは、時期ごとの需要の波だけでなく、周辺環境の変化にも目を配りましょう。
譲渡所得税から見た土地を売るタイミング
土地を売るタイミングを考えるうえで、時期と並んで基準となるのは譲渡所得税です。
譲渡所得税を基準としたとき、土地を売るタイミングは以下のようになります。
譲渡所得税から見たタイミング
譲渡所得税とは、不動産の売却後にかかる税金です。
課税対象額は不動産の売却で得た利益にあたる譲渡所得で、具体的な金額は以下の式で計算します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税が土地を売るタイミングの基準となるのは、売却した不動産の所有期間に応じて税率が変わるためです。
税率が下がるタイミングを待って土地を売れば、売却後にかかる税金の負担が軽減されます。
税率が下がるタイミングは、所有期間が5年超となったときです。
このときは、20.315%の税率で譲渡所得税が計算されます。
所有期間が5年以下だったとき、税率は39.63%となります。
両者を比べると2倍近くの差が見られるため、節税を考えるときは土地を売るタイミングに注意が必要です。
なお、譲渡所得税の税率を決めるときの所有期間は、不動産を売却した年の1月1日時点で判断されます。
基準日において所有期間が5年を超えているかどうか、注意して確認しましょう。
特例を使うときのタイミング
譲渡所得税は、税制上の特例によって税額を抑えられることがあります。
主な特例のひとつには、相続した不動産の売却における取得費の特例が挙げられます。
本特例は、相続税を課せられた不動産を売却したとき、以前に納めた相続税の一部を、不動産の取得費に加算できる制度です。
前述のとおり、不動産の取得費は、譲渡所得を計算するときに使用する項目のひとつです。
取得費の特例を使うと、相続税の一部が上乗せされるため、通常より取得費が高くなります。
結果として、譲渡所得が低くなり、税額を抑えられます。
取得費の特例は節税に有利ですが、適用を受けるには、相続開始の翌日から3年10か月以内に不動産を売却しなくてはなりません。
そのため、相続した土地を売るうえで取得費の特例を使いたいなら、相続開始の翌日から3年10か月以内が売却に有利なタイミングだといえます。
土地を売却せずに所有し続けるときにかかる維持費
土地を売るタイミングを考えるうえで、所有をそのまま続けたらどうなるのかは、参考までに確認したいポイントです。
土地を売らずに所有を続けると、物件の維持費がかかる点などに注意が必要です。
土地を所有している間にかかる維持費には、以下のものが挙げられます。
固定資産税と都市計画税
土地でかかる主な維持費は、まず固定資産税と都市計画税です。
どちらの税金も、土地の所有者に対して一律に課せられる税金で、所有を続けている間は毎年かかります。
課税のタイミングは毎年1月1日で、納税方法としては、6月頃に届く納税通知書にしたがって納めるのが基本です。
住宅が建っているなど、一定の条件に当てはまれば、税額の軽減措置が適用されます。
しかし、土地を所有している限りは課税が続き、毎年の税金によって維持費がかさんでしまいます。
草刈りや修繕費など管理費用
土地を所有している間は、管理費用が定期的にかかるものです。
土地を管理していないと、敷地内に雑草が生い茂り、隣近所の迷惑になってしまいます。
くわえて、土地の状態が悪くなると、周囲の景観を損なったり、ゴミの不法投棄が起きたりし、近隣住民とトラブルになりかねません。
トラブルを防ぐには、草刈りなどを定期的におこなう必要があり、それだけ費用がかかります。
草刈りを業者に依頼する費用は、1坪あたり500円~1,500円が目安です。
ただし、敷地内に木が生えており、伐採や剪定などが必要だと、追加で費用がかかります。
火災保険料
火災保険は建物に対する保険であるため、土地が更地であれば不要ですが、建物があるときは必要です。
建物が空き家になっていても、放火などで火災が起きることはあります。
もし火災が起きて周囲に損害を与えたとき、所有者に重大な過失があるとみなされると、損害賠償を求められかねません。
このようなリスクから、土地に建物が残っているときは、火災保険をかけておいたほうが安心です。
そして火災保険をかけておく以上は、火災保険料を土地の維持費に含めておく必要があります。
なお、物件が空き家だと火災保険の補償対象外とされることがあるため、具体的な条件は個別によく確認しましょう。
まとめ
土地を売るタイミングは、時期を基準とするなら、不動産売買の繁忙期である春先や、土地の周辺環境が良くなったときなどが挙げられます。
不動産売却後にかかる譲渡所得税を基準とすれば、所有期間が5年を超えたときや、使用したい特例の適用期限までに売るのが有利です。
土地を売らずに所有を続けると、固定資産税と都市計画税、草刈りなどにかかる管理費、建物の火災保険料などが維持費としてかかります。
株式会社たくみ スタッフブログ編集部
株式会社たくみは、出雲市で1976年に創業した不動産屋です。今やインターネットに賃貸・不動産情報は溢れております。あまたの物件からお客様にとって最適なものを探しだすことが弊社の使命です。ブログでは、物件探しのお役に立てる情報発信をします。